この場所で俺たちは始まったんだ。



二人だけの……



幸せな場所ーーー。



俺は、やっぱりこの場所が落ち着くみたいだ。


気づいたら、時間の止まった部屋から抜け出しここにいた。



まだ、空は暗い……



冷夏と出逢った頃は、今の時間じゃすっかり夜は明けていたはずなのに



時間も季節も俺たちを待ってはくれない



いつもの場所で車から外を眺めていた。





初めて
冷夏を抱きしめた場所


初めて
冷夏にキスをした場所



時には喧嘩して
ここでさよならを告げ



何度もここで
涙を流し孤独を感じた。



どれだけさらってしまおうと思ったか



その度に出会ったことに後悔もした



だけど、ここで何度も幸せを感じられたんだ。



冷夏の愛に包まれて……




俺はひとり、冷夏にあげたMDと同じ曲を流しながら車の中で夜を明かした



懐かしい



夜明けと共に、いつも「おやすみ」を送りあっていたあの頃が。




だけど、不思議なんだ



助手席に目をやると冷夏がまるで座っているようだ



幸せそうに


子供みたいに
はしゃぎながら……






「冷夏ごめんな」



その声が、冷夏が嫌がってた寂しい曲と共に簡単にかき消されてく……



それと同時に俺の心の中にたまっていたものが涙と共に溢れて止まらない。





また、あの寂しそうな目をさせてしまうのだろうか。