離れてしまうのが怖い……


ここで放してしまったら、冷夏が遠くに行ってしまう気がした。



「だけど、これホントありがとうっ!!」



まだ手から放さず、冷夏が持っているMDを見てなぜだか悲しくなっていた。



「冷夏っ、俺のこと好き?」


「どうしたの?急に……」


「好きって言って!」


「大好きだよ……」



寄り添い、静かに笑う冷夏に俺は髪を撫で続けた。


小さい子供を扱うようにそっと、何度も……



「ねぇ?車の後いかねぇ?」


「えっ?」


「ばか、冷夏……また変なこと考えたろ」


「もう!!違う!!考えてないっ!!!」


俺も言った手前、めちゃくちゃ恥ずかしくて、冷夏をからかった。



「遠いんだ、運転席と助手席だと」


「へっ??」


「距離があんの!!」



恥ずかしくて、どうしようもなかったけど、遠まわしじゃ冷夏には伝わらないと思い俺は先に車を降り後ろの席に腰を下ろした。



恥ずかしそうに、冷夏が後ろの座席に入ってきて俺の隣にうつむき加減で腰を下ろした。



その冷夏を持ち上げ、俺のひざに乗せた。



「もう、翔クンってば!」



顔を俺の胸にうずめてる冷夏を心から愛おしいと……



「冷夏が近い……」



近くにいても遠くに感じる冷夏を、せめてこの時だけは……



「うん」




抱きしめていた腕の力を抜かなかった。