ウシロスガタ 【完】

俺と中西は同じ時に
昔の光景を思い出していた


「さと……?」



「あ……?」



「ぶつかれよ、好きなら…ぶつかってみろよ!」




俺は中西の方を向けず
窓から目線を放せなかった



「あぁ…好きみたいだな冷夏の事……」



――バシッ――



「いてぇ~って何すんだよ!!」



俺は中西に叩かれた肩を
摩りながら照れ臭そうに
中西を見た




「頑張れって!!」




そんな男の一言が俺の心に突き刺さり俺は笑った




――バシッ!!――




「いってぇ~なぁ!!何すんだよ!!」




「頑張るよ!!」




そう言い俺達は朝早い車の中で爆笑した



「さと~!乗るぞっ!」



「あぁ、いいっすよ!」



俺の車の後ろの座席に
この前のキャバクラの女ともう1人の女と先輩が乗った



助手席にはちゃっかり中西が座り出発する頃には爆睡していた



“ったくコイツはよ……”



そう思いながら後ろの座席に笑い声と共に、



俺はもう一台の車の後ろに着いて海へと出発した



出発した頃には暑さを予想させる眩しい光が車に差し込み、



俺にいきなりの睡魔が襲って来ていた