「いっせ~の~せっ!!!」
「いっせーのーせっ!!!」


「4と8と9!」
「1と4と8と9!!」





ーー9月21日ーー



そう、俺と冷夏の大好きなアーティストのアルバムの発売日の日。



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《やったぁ~ゲットぉ~!!これから聞くよ!!》


《えっー!!先こされたぁ…今もう少しでCD屋なのにぃ!!》


《マヂ?じゃあ、すれ違いだ》


《うそ?今どこ?》


《今、もう家に着くところ》


《なんだぁ、ショックぅ…》


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そう、約束したこと。



気に入った曲を「せ~の」で言おうって……。


「なんで4つも?ダメだよぉ!!」


「いや、変わらねぇ~から、冷夏だって3つじゃんかんよ」



「ってゆ~か、3つもかぶってるじゃん!!すごーい~!!」



「おい、聞いてる?人の話し」


「好きな曲3つも一緒だなんてっ!!!」


「聞いてねぇ~し」


そう言いながらも、俺の助手席で、


冷夏の特等席で、



本当に喜んではしゃいでいる冷夏を見て、俺はなぜだか涙が出て来ていた。


「やっぱり、同じなんだねっ!気持ちが……って翔クン??」


「あ?」


「どうした??」



俺の顔を心配そうに覗き込む冷夏を見ると、また涙が溢れてきそうになり、俺は下を向いて目をこすった。



「いって~!なんか目に入ったんだけど……」


「なぁ~んだ、感激の涙かと思ったのに、ゴミか……」


ぷ~っとほっぺを膨らましながらも、まだ心配そうに覗き込む冷夏を心から愛おしいと思っていた。



冷夏、するどいよ。

俺は感激の涙を流していた。



冷夏が俺の車の中にいることが嬉しくて……


俺の横で、また幸せを運んできてくれて……


また、二人の幸せな秘密の場所にこうして一緒にいれてる。