「ねぇ…?」


「んっ?どした??」



「冷夏は、翔クンがいなくなることだけが怖い……」



「冷夏……」



「不安になってもいい、一緒にいれなくて寂しくても我慢する、だから……」



「冷夏??」



「だから、どこにも行かないで……」



電話の向こうで、冷夏が泣いている……。



今すぐにでも飛んで行ってあげたい。


今すぐにでも「大丈夫だよ」って、おもいっきり抱きしめてやりたい。



「行かねぇ~よ、どこにも…。だから泣くな」



「翔クン……」



だけど、それができない相手……。



俺が選んだ恋愛。



「逢いてぇな……」


「うん……」




それでも、俺は再び繋がることを望んだんだ。



もう欲なんてものは捨ててしまおう。




“冷夏が好きでいてくれる”それだけで十分……




「俺、今から冷夏のいる公園の前通るから!」


「うんっ!!!」



「冷夏?好きだよ、大好きだよ」


「バカっ!!」


「冷夏は?」


「冷夏もだよ」


「なにそれ、そんなんじゃわかんねぇ~よ」


「今ここでは無理っ!!」


「あっそ……」


「あ、うそ…好きだよ」



顔を真っ赤にして、照れてる冷夏の姿が浮かび、俺も久し振りに笑顔がこぼれた。



「照れてるだろ!」



「うるっさい!!」



「ば~か!!じゃ、今から復縁ということで冷夏の姿見に通るわ」



「分かった!!」


「見逃すなよ!!」



冷夏のはしゃいでる声を聞き、俺は電話を切り、暫く携帯を見つめていた。




ーー15分51秒ーー



冷夏と話していた証の文字を……。