ウシロスガタ 【完】

「お前とちげ~からな、その辺……」


そう言いながら、開店されたパチンコ屋へ、入って行く中西の背中を見ながら俺も着いて行った。



台の前に腰をかけると、横ではもう中西はスロットを打っている。



「お前、やらない方がいいんじゃねぇ?でね~ぞ!!!」



今の俺は冷夏パワーがなくなってるのを悟り、鼻で笑う隣の男を睨みながら、台にお金を入れ打ちたくもないスロットを打ち始めていた。



「死んでんぞ、顔が……」





冷夏がいなくなってしまった世界、



俺の周りの色さえも全て消してしまったかのようで……



そして、俺の表情さえも奪われていった。




逢える距離にいるのに……



携帯という、この世の中に便利な物が出来たお陰で、それを使えば冷夏を繋がることが出来るかもしいれないのに、



俺はその全てを塞いでいた。




「おめぇ~帰れよ!!!」



その言葉に、黙って立ち上がった俺は静かにその場から離れ、いつもの場所へと、向っていた。






冷夏?


何してる……?



俺の頭の中は、冷夏のこと以外を受け付けないみたいなんだ。




冷夏?





もう、嫌いになったよな……?