俺はテンションがめちゃくちゃ上がっていた


冷夏と繋がってる事……



携帯のメールなんて今まで一度だって役に立った事なんてなかったのに



この日、俺は世の中にこんなにも便利な物が誕生した事に本当に感謝した




《冷夏は何処が地元なの?この辺に住んでるの?》



《えっ?地元は〇〇だよ!中学は〇〇中だよ~☆》




「はぁぁああ!?マヂ?」



俺は手の上にある、
携帯に向かって大声を出した



――ガチャ!!!――



「おい!!翔ぉ~うるせーって!」



「あ?俺それどころじゃねぇーから消えてくんね?」



隣の部屋から勢いよく俺の部屋に来た兄貴は俺を見て不思議そうな顔をした




「なに?」



「いや…お前さ一人なんだうるせーから誰かいんのかと……」




「いねぇ~から!邪魔だから早く行けって……」




俺は大事そうに携帯を握りながら片手で兄貴を追い出し部屋のロックをかけた。



「マヂかよ~!!」


そう言いながら俺はメールを送信した



《マヂ?俺、〇〇中なんだけど(笑)》




それから暫く冷夏からの
メールが来るのに時間がかかった




“やべぇ~なんだ、なんだ?”



悲しくもセンター問い合わせした自分が情けなかった




俺は待てずに、またメールを送った




《おい!寝たろ…?》




――♪♪~♪♪――



その時、俺のお気に入りの着うたがメールを知らせてくれた



《寝てないよーだ!寝ないって言ったじゃん?それよりマヂびっくりなんだけど~歩いて行ける距離に居るんじゃん!!》




《そうだな。》




それだけを打ち、冷夏からのメールをもう一度見た




「歩いて行ける距離か…」



そんな距離にいるのに凄く遠くに感じるのは、


きっと俺だけなんだろう





冷夏の何気ない一言に
何故だかおちている自分がいた