ウシロスガタ 【完】

《お前が大丈夫って言う時は1番大丈夫じゃねーだろ》



《何言ってんの?大丈夫だよ!》



《冷夏はこれで終わりでいいの?》



一番、答えを聞きたかった言葉


一番、言いたかった言葉……。




メールを入れてから俺は深いため息をついた。


幸せそうに肩を並べながらビデオ屋に入って行くカップル達……。



少し前の俺も冷夏と、あのカップルのように、幸せな顔をして入っていたのだろう


ボーッとしてる俺は受信の音楽さえも耳に入っていなかったのか、



ピンクの蛍が点滅していたのに気付き急いでメールを開いた。



《いい訳ないじゃんよ、バカ…逢いたいょ》



エンジンをかけていた車を発進させた。



《俺も逢って話しがしたい、行ってもいい?》




本当は逃げていただけ……


本当は自分がこれ以上傷付きたくないと。




それが、冷夏を追えなかった理由だと、自分でよく分かっていた。