ウシロスガタ 【完】

《今、飲みに行こうかと…翔クンは今どこにいるの?》


冷夏がどこにいるのかも分からないくせに、車を発進させていた。



《ビデオ屋にいるよ、誰と飲み行くの?どこ?》



強がった


少しだけ……



いつもの場所で来るはずのない冷夏を待っていたと、言えなかった。



《店の近くだよ、ビデオ屋っていつもの?》



《そうだよ、どこにいるの?》




俺は焦っていた。


冷夏がどんどん遠くに行ってしまうような気がして、



友達も本当は男なんじゃないか?


客なんじゃないかって……



こんな時でさえ、冷夏を疑っている自分が情けなくて、信号待ちしている間に急にとざえたメールが気になりセンター問い合わせをしていた。




ーーププー!!!!ーー



車のクラクションが俺の後から聞こえ、信号が青になっていることに気が付き、イライラしながら、携帯を助手席に放り投げた。




“場所も言えないのか…?”



俺は一体なにをしたいのだろう。




そう思いながら、俺はビデオ屋の駐車場に入り車を停めた。



ーー♪♪~♪~♪ーー



《コンビニの近くの居酒屋だよ》



そう受信された時、俺は行きたくもなかったビデオ屋の中にいた。