『翔クン、見てぇー!重なってるぅ〜!』



重なった2つのミサンガは綺麗なハートの形をしていたあの時、ホテルで本当に嬉しそうに喜んでいた冷夏。



『ハート☆2人でひとつのハート♪』



目をキラキラさせて、喜ぶ冷夏の姿に俺は確かに幸せだと感じていた。



『そうだな、でも2人一緒にいないと割れちゃう』



そんな不安を漏らした俺に、優しい眼差しで見つめながら『翔クンの方のハートは冷夏の心、冷夏の方のハートは翔クンの心だよ…☆』




そう言ってくれた……





ーー『割れてるんじゃないよ、重ならない時こそ相手を思えるんだよ』--






重ならない時こそ、相手を思える……




どうして、そんな冷夏の1つ1つの言葉を、もっと信じ大切にしてあげなかったんだろう。



襲いかかるのは、後悔だけで





俺に残ったのは、喪失感だけだった。





静かに涙が零れた……




俺は大切な冷夏を失ってしまったんだ……




なにもしてあげられないままで、



傷つけることしかできないままで……。