ずっと秘密の場所にいた……



窓から入ってく風は昼間とはまた違って、半袖の俺には少し肌寒く、



そして、日が短くなってしまったことで、蝉の鳴き声から鈴虫の鳴き声に変わってしまったことで、改めて秋を実感してしまっていた。



まるで、時間が止まってしまったかのように感じていたが、車の中から外を見るとだんだん薄暗くなり、止まっているのは俺だけの時間だって気づいて笑えた。





窓の外からダッシュボードに視線を移すと、俺の携帯は寂しそうにしていて



ピンクの蛍の姿も現れない……




むしろ、ピンクの蛍が現れないクソ携帯なんてもう俺には用がない。




伸ばしていた足を片足だけシートにのせ、ミサンガに触れた。



冷夏が俺の為に作ってくれた、宝物……




「結局、願いは叶わぬままかよ……」



そう呟きながらも、もし今切れてくれたら俺は、



“もう一度、冷夏と俺を結んで下さい”そう願うだろうと、心の中で思いながら自分の足首をおもいっきり握りしめた。