「お前、ホントに冷夏チャンの気持ちなんも分かってねーんだな?」
「何がだよ!お前に何がわかるんだよ!!」
「あぁ、なんもわかんねーよ!!でもな、少なくとも、お前よりかは分かる気がするよ」
「はっ?お前に……」
「冷夏チャンが辛くても、お前に責められても笑ってる理由……」
「……えっ?」
「お前を失いたくないからだよ……」
“俺を失いたくないから……?”
そんな中西の言葉に俺の周りの音全てが消されていた
俺は、そんなことすら見失っていた。
あいつがいつも笑っている理由……。
俺がふてくされる度に顔を覗き込み抱きついて来ていた。
初めて出逢った時には想像もつかない冷夏の姿を、冷夏は俺にさらけ出していた。
“俺を失いたくないから……”
そんな冷夏の気持ちなんて分かってなかった。
勝手に中西の電話を切り、俺は画面の上についているメールマークを見つめた。
開けなかったメールを開こうとしている
俺の傍から消えて行った冷夏は俺になんてメールを入れてきたのだろう。
答えなんて開けばすぐに分かるのに、手が震え、心臓がバクバクいって暫くただ見つめているのが精いっぱいだった。



