「俺、冷夏と別れることにしたよ」


俺は自分の部屋のベッドの上で、中西に電話をしてた。



「は?なに、急に……」


「もう、限界なんだ」



そう、話す俺の携帯を持つ手は震えていた。




1人でいることが辛くてどうしようもなかった。


誰かに、止めて欲しいっていう気持ちもあったのも嘘じゃない。





「そっか、お前が決めたならそれでいいんじゃない?」


「あぁ……」


「話はそれだけ?」


「待てよ…!!」


「なに?お前な、もう夜中の2時過ぎてんだぞ?」



夜中の2時……



中西の言葉にすぐに冷夏が浮かび、俺はそれを打ち消すかのように首を振った。



「つーか、いつも起きているくせに、なに言ってんだよ」



中西があえて夜中の“2時”と言う言葉を出して来たのがなんとなく分かって胸が痛んだ。




コイツはそういう奴だ……



「ねみぃ~んだよ、切るよ?」


「だから、待てって」



「お前な、自分が吐いた唾のむなよ?」


「……」


「情けねぇ、男だな…所詮それだけってことだよ、お前たちは」




その中西の言葉に、なにも言い返せずに、



俺の耳元には、プープーという音だけが聞こえていた。