ウシロスガタ 【完】



何日か前……



俺は初めて冷夏を抱いた。



あの日の帰り、俺たちはこの場所でお互い埋まらないものを必死に求め、埋めていた。




帰る時間に脅えながらも、バイバイする時に見せた冷夏の笑顔は、今までに見たことのないくらい、輝いていた。





だけど、幸せを手に入れる度に、俺たちは欲張りになって行ったんだ。





一体、どこまで求めれば気が済むのだろうか。






「だったら嫌いになってやるよ!!!」そう言ってしまった時の俺に見せた冷夏の表情。





あんな顔をさせてしまった自分が、情けなくてその場から立つことさえできなかった。






でも、自分でも気づき始めていたんだ




これ以上、冷夏と離れていることが限界なことを……。