ウシロスガタ 【完】

冷夏と出逢った夏が終わろうとしている……




あんなに、夜でさえ騒ぎまくっていた蝉の声も、すっかり消えて





夏の夜の心地良かった風もなくなり、




少しだけ半袖だと肌寒く感じていた。





あんなに大嫌いだった季節のはずなのに、




俺は夏が過ぎ去って行く事に寂しさを感じていた。






どれだけの愛を注いだら、冷夏は俺のだけのものになってくれるんだろう。




冷夏が傍にいてくれたら、他に何もいらないのに……





そう思いながらも、俺は携帯の電源を切った。