ウシロスガタ 【完】

帰り道……


俺たちは長い沈黙が続いた


冷夏はｽﾓｰｸで見えずらい窓の外をずっと見つめて、俺は真っ直ぐ向いてひたすら運転に集中してた。



いや、してるﾌﾘをした。




本当は窓を見つめている冷夏が何を考えているのか気になってしょうがなかったけど、



聞く気力さえも残っていないほど、冷夏とﾊﾞｲﾊﾞｲする事にただ脅えていたんだ。


さっきまで幸せそうに笑い合ってた二人がまるで嘘かのように、



車の中は冷夏私用の24度の設定でも、もう肌寒く



俺はｸｰﾗｰを切り窓を開けた。



「あ、ごめん」



「えっ？いいよ、開けて？」



何も考えずに助手席の窓を開けた俺は、車の中が丸見えな事に気が付き咄嗟にまた閉めていた。



「大丈夫だよ！冷夏寒いかと思ってｸｰﾗｰきっただけなんだけど丸見えだな」




笑いながら冷夏を見ると再び窓を開けていた。




「閉めないで？お願い…」


「でもよ……」



「いいのっ！今ぐらい普通の恋人同士みたいにいたいから…」



「冷夏……」




それは、あまりにも悲しい言葉だった。