ウシロスガタ 【完】

「つーか、冷夏どこ行くと思ってるの?」


あまりにも気まずい沈黙の中、俺は前を向きながら話しかけた。



「えっ?な、なによ…わかんないよ」


「冷夏のエッチ!!」


「なに言ってるの?バカ!!翔クンが変なこと言うからだよ!!」



「勝手に想像したのは冷夏だろ?」



「違うもん!!なにも想像なんてしてないよ!!」



「冷夏のエッチ」



「もう、バカ!!」



暗い車の中でも分かる、冷夏の顔を真赤にしてる姿に、笑いが止まらなく



そして、本当は俺もドキドキが止まらなかった。



「ほんとにどこ行くの?」



ジュースに手を伸ばし、冷静を保とうとしている冷夏の姿がまた可愛らしかった。



「ホテルだよ」


「ぶっっ!!!」


「お前、なにやってるんだよぉ~!!アハハハハッ♪」



俺の言葉にいきなり、吹き出した冷夏は慌てながら、零れたジュースを拭いていた。




「さっきのお返し~♪」


「ばかっ!!」



口を膨らましている冷夏の顔がまだ、火照っているのを見ながらも、



自分の言葉になぜか変に緊張し、車の中でまた長い沈黙が流れた。