《でも、別れたいからって簡単に別れられるものじゃないんだよ、夫婦ってさ……》



そう、俺の知らない世界



俺の踏み込んでしまったらいけない世界。



冷夏の言葉があまりにも悲しすぎて、笑うことしか出来なかった。



《そうだよな、そんな簡単じゃないのかもね?俺は結婚してないからわからねぇーや!!》



この日、初めて……



冷夏を好きになったことに後悔した。




いくつもの偶然が重なり出逢ったとしたなら、



俺はあの日、冷夏の店に行ったことまでも後悔するだろう……。



好きになったことを後悔する前に、



冷夏と出逢ったことすら後悔するだろう。




俺の描いていた冷夏との未来が、たった数分で消されて行った。



俺が、毎日冷夏との幸せな未来を描きながら、自分を励まし、眠りに落ちてた日々も、



ただの想像だけで終わってしまった。




もう、きっと今日からは、未来を想像することもないだろう。



《ごめんね》



冷夏からのメールを見て、俺達の未来が夢でしかないことを改めて感じた。