静かな部屋に、冷夏からのメールを知らせる、同じ着信音に設定した音楽が鳴り響いた。



慌ててメールを開いた俺の目には長いメールが飛び込んできた。



《正直に言うね、翔クンのことは凄く好きだよ?

ずっと一緒にいたい…って冷夏だって思ってる、


でも…旦那と別れて翔クンの所へ行けるか…って言われたら、頷く事ができないだ。


今まで、たくさん親に迷惑かけて、子供たちもパパを必要としている、そんな中…あたし1人の感情で翔クンの傍にはいけないよ。


旦那の傍にいる事が今は正直辛い…でも、別れて翔クンの傍で笑える自信もないんだ》



止まっていた



俺の中で、時間が……


いっそのこと、呼吸してることさえ忘れてしまえばいいのに



そう思っていた。




“聞いてはいけないこと”



人は時に、真実をしらないことのが幸せな時もある



きっと、こういうことを言うのであろう。




喪失感だけが残った俺は、冷夏の言葉に納得できずに



すぐに返信した。



《それは間違いだよ、逃げてるだけだよ!

親に迷惑かけたから幸せにならないの?いなくてもいい場所に居続ける?子供に悪いから旦那といる?

そんなのおかしくない?自分の気持ちに嘘ついて幸せになれるの?笑えるのかよ……》




冷夏の、いいわけは、きっと俺を思ってのことだろう。



だけど、俺は冷夏を責めることしか出来ない。




じゃあ、俺の気持ちは……?



俺の気持ちはどこにもっていけばいい……?





『初めから、叶わぬ恋だったのよ……』



俺の脳裏に横切ったのは、




3年前、冷夏と同じ人妻の言葉だった。