ウシロスガタ 【完】

聞いてはいけないこと。


きっと俺は冷夏を苦しめている



そんなことくらい分かっていた。



だけど、俺だって人間……



抱えきれなくなるものが沢山あった。



いつもいつも冷夏のことで頭の中がいっぱいで、好きになればなるほど、


心配し、不安になり、嫉妬心がわいてくる。




冷夏からどんな言葉が返ってくるかなんて、これっぽっちも分からなかった。



だけど俺も、確信できる何かが欲しかった。


冷夏との未来を少しでも想像したかった。



現実さえ向き合えない俺に、何を言ってるのか?



そう思われたってかまわない。




俺は、未来のない恋愛なんて恐くてたまらない




冷夏がいなくなる未来なら、俺はいらないんだ……。




携帯を握りしめ、ただひたすら着信音が鳴るのを待っていた。




長かった……



それほど、冷夏を悩ませていることも分かっていた。




こんなにも時間がゆっくり流れる時なんて今までにあったか……



待ってる時間があまりにも長すぎて、俺は連続して、冷夏にメールを送った。