ウシロスガタ 【完】

《なにかあったの?》


《なんもねーよ!!》


《そっか、ならいいんだけど……》



上手く表現出来ない自分、



素直になれない自分……。



こんな自分が冷夏を不安にさせてることなんて気づきもせずに、



俺の気持ちはブレーキがかからなくなっていた。




旦那は寝てるの?


冷夏の帰りを待ってるの?



いつもどんな会話をしてるの?


俺の傍じゃなくても、あんな風に笑ってる?




旦那に抱かれてるの・・・?




ーー嫉妬ーー



冷夏を愛する気持ちが大きくなるほど、比例して大きくなって行く。



考えれば考えるほどおかしくなっていく、



俺の心と頭の中……。





《ねぇ?ひとつ聞いていい?》



《うん、なぁに?》




俺が1番聞きたかったこと……



ずっと聞けずにいたこと……



聞いてはいけないって思ってたこと……




俺は1つずつゆっくり携帯のボタンを押し、言葉を並べて行き、唾を飲み込み送信した。







《俺がもし、旦那と別れてって言ったらどうする…?》





その瞬間、酷く心が痛んでいた。