ウシロスガタ 【完】

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俺が家のエレベーターに乗った瞬間、冷夏からのメールを知らせる着信音が鳴り響いていた。




いつもなら、無事に着いたか心配だから『家の玄関の前に来たら必ずメールを入れてくれ』
と毎回口をすっぱく言う俺との約束を破った事のない冷夏……




“ただいま~!!無事に着いたよ!!”そう入ってくるメール。



だけど、この日の冷夏からのメールは俺との約束を破っていた。




《どうしたの?》



きっと、俺の行動に不審感を抱いたのであろう。



そのメールを見て、ガキくさい自分の行動が情けなくなった。



《着いたのかよ?》



《うん、ごめんね。ちゃんと着いてるよ!》



《なら、いいけど……》



冷たく返信した俺は、強がっていた。




バカな男だと思うだろう……


ちっちゃい男だと思うだろう……




だけど、俺を見ていて欲しくて



俺だけを見て欲しい。




そんな俺の弱さだった。