ウシロスガタ 【完】

そんな冷夏をまた強く強く抱きしめた。



もう、俺の傍から消えてしまわないように……



冷夏のぬくもりがなくならないように……




「翔クン、苦しいよ……」



そう言いながらも、俺の背中に腕を回している冷夏の腕にも力が入っていた。



「俺、冷夏が来るって信じて待ってた……」



「うん」



「でも、全然来なくて……」



「うん」



「首都高走ってきた……」



「うん、冷夏も翔クンが来るって信じて店を休んで待ってたの……」



「うん」



「でも、全然来なくて……」



「うん」



「ひとり、ドライブしてた……」




俺達は顔を見合せて笑った。



離れていたのに、同じことをしいていた冷夏がまた愛おしくて……




力いっぱい抱きついてきた冷夏の頭を撫でた……。




「もう、翔クンのいなくなることなんて考えられない……」




そう言う冷夏はやっぱり、震えていて……



俺も込み上げてくる気持ちがあった。