ウシロスガタ 【完】

「う~おぉぉぉぉーー!!!」



冷たいものが俺の背後から首に付けられた。



「わぁぁぁぁぁ!!!!」



俺の叫び声と共に鈍い音さえも聞こえた。



後を振り返ると、冷夏が転んでいた。



「れ、れいか……?」



苦笑いをする冷夏に俺は笑いが止まらなかった。



「お前なにやってんの?」



「びっくりしたぁ……」



「いや、びっくりしたのは俺の方だから……」



「だって、あんなにびっくりしなくてもいいじゃんよ~」



少しすねた顔をしながら、洋服の汚れを落としてる冷夏に、俺は涙がまた零れ、おもいっきり抱きしめた。



「翔クン……」



「卑怯だろ……?」



「だって……」


「ふざけんなよ……」




そう言いながらも、俺は自分でも分かっていた。


肩が震えてることを……。




「だっていったでしょ?冷夏、待ってられるって……」



そう、小さな声で言う冷夏の肩も震えていた。



「おせーよ!!」


「翔クンがね……」


「冷夏だろ……」



そう言いながら、冷夏の顔を覗きこむと、泣きはらした眼からまた涙が零れていた。