“えっ……?”


地面に落ちて行く灰を見つめながら、俺の手は力が抜け、タバコが地面の上を転がって行った。




いつも2人が座り込んでいた場所に、マイルドセブンのタバコの吸いがらが大量に転がり落ちていた。




マイルドセブンは冷夏の吸っているタバコ。




「冷夏……」



なんの確信もないのに、俺は冷夏がここにいた証だとすぐに思いこんでいた。




冷夏がここにいた……?




急に心臓が高鳴り初め、立ち上がり携帯を取り出して新規メール作成を画面に出していた。





だけど、俺の手はメールを作ろうとしなかった。




ただ、その場で冷夏が残して行ったタバコの吸いがらを見つめていることしかできなくて、




すれ違ってしまったことに、力が抜けて再び腰を下ろした。




俺があのままこの場所にいたら……




押し寄せるのは後悔だけで、




そして、やっぱり運命というものに憎しみを持つことしか出来なかった。




「アハハハッ……、馬鹿だな俺……」




おもいっきり頭をグシャグシャにし、近くに転がっていた石をおもいっきり近くの階段に投げつけた。