ウシロスガタ 【完】

俺は一体、どれくらい走ったのだろう……



どこまで走り続けたのだろう。




車が少ししか見つからない夜中のひとりだけのドライブは、いっそう俺を孤独にさせるだけだった。




どんだけスピードをあげ、早く過ぎ去る景色を見ていても



俺の心の中は止まったままだった。






結局、再び俺が車から降りた場所は冷夏との“秘密の場所”だった。



あんだけ、違った世界を車と共に走ってきたくせに、



さっきと何も変わらないこの風景……。




やっぱり肌寒く感じた夜中の風に、俺は冷夏と出逢った日の事だけを思い浮かべながらタバコに火をつけ、煙と共にため息まで吐き出した。





胸が痛いんだ……



心がなんだか苦しい……。




どうすればこの痛みは消えるの……?




そう思いながら長くなった灰を地面に落としながら腰を下ろした。