ウシロスガタ 【完】

掛け布団に潜り込むと、冷夏の香りがして、また涙が溢れた……


冷夏が寒がってくるまっていた俺の布団。



「れ…い……か」



どうしてだろう


苦しいんだ……



もう、人生が終わってしまったかのような脱力感。



だけど、不思議な事に俺の脳の中を支配するのは



楽しかった思い出と、



冷夏の笑顔……。




おもいっきり布団を抱きしめながら、冷夏のぬくもりを感じようとした。




俺が落ち着く冷夏の甘い香り……。



好きなんだ……



冷夏が残していく、この香りは、



幸せを感じた時に襲う


“夢じゃないのか……”


という俺の思いを現実に引き戻してくれるから。



冷夏がここにいた証の香り。



震えながら強く強く抱きしめた。