ウシロスガタ 【完】

「好きなら、とりあえずぶつかれよ!」



「はっ!?」



「逃げる事はいつでも出来っから!じゃあな…」



「帰るのかよ?」



「お前も帰れ!!」



溜まったコインを持ち席を立ち中西は帰って行った。



「なんだよ、アイツ……」



そう言いながらも、中西の思いが伝わって来て……



何故だかポケットに入っている携帯を握りしめた。




「アイツは俺のなんなんだ……」



そう呟きながらも、急いで店から出て家に向かった。



逃げてた……



現実からも、真実からも。


冷夏が負った傷に比べれば俺がこれからメールを開く事なんて対した事ないのに



俺はただ逃げていたんだ。



向き合う事を拒否してるのは



もしかしたら……




冷夏じゃなく、俺なのかもしれない。




そう思い、ハンドルを握る手に力が入っていた。