ウシロスガタ 【完】

“翔クンが思っているほど、冷夏は純粋じゃない!!”


“好きになればなるほど、傍にいるのが辛いんだ……”



「くっそっ!!どうしてなんだよ!!」



俺はこの日、冷夏とバイバイした後……



帰るフリをして再び、いつもの場所まで来ていた。



夏の始まりに鳴きまくってた蝉の声も随分減り……



車の中で窓を開けながら、体を起こす気力さえも残っていない俺はシートにもたれ掛かっていた。



さっきまで降り続いていた雨さえも嘘だったかのように、眩しい日差しが……




涙で腫れた俺の目にはきつくて、静かに目をつぶった。



今までに味わった事のない怒り……



今までに味わった事のないこの張り裂けそうな、



何かにえぐられたような
俺の胸の痛み……。




冷夏の震えの止まらなかった姿と、



痛々しい胸の傷が



俺の脳裏に焼き付き、俺もまた冷静になれない自分に何度も何度も深呼吸をした。