ウシロスガタ 【完】


「そろそろだろ?」

「まだ10時半だよ!!」

「ば~か、そんな事言ってると本当に帰らせねぇ~ぞ?」



そう言うと、冷夏は携帯を取り出し時間を確認していた。


「1時半……」

「そっか……」


「じゃぁ、携帯の時計も止めちゃおうっか!」
「冷夏っ!!!」


冷夏の寂しそうな瞳を見て、
一瞬だけ、ほんとうにさらってしまおうかと思ったけど、自分で頭を振りながらそんな考えを散らした。


「時間は止まらないんだよ、時間は待っていてくれないんだ」

「……」


「これが現実、これが俺達の運命……」


その時、冷夏はそっっと立ち上がり、俺の部屋の時計を正しい時間にセットし直した。



「それでも、そんな運命に冷夏は感謝するよ!!翔くんと出会えて本当に良かったって思ってるから」



寂しそうに笑う冷夏を見て、なぜだか笑えずにいた。



「ば~か!!」


「ばかだもん!!」



辛くても、苦しくても、俺は冷夏との未来を信じているから乗り越えられるよ。


「よし!!行くか!!」

「うん!!」



冷夏もそうだろ……?