「うわっ!びっくりしたぁ〜!!」



「………」



「翔クン?」



これから襲い掛かる全ての不安を冷夏に受け止めて欲しくて、



俺はだんだん冷夏を抱きしめる腕に力が入って行くのが分かっていた。



「苦しいよぉ、翔クンどうした?」



俺と冷夏の間に1枚の掛け布団が邪魔していて、



冷夏はその布団を俺にもそっとかけてくれた。




「ありがとう、冷夏……」


冷夏がそっと俺を抱きしめ返してくれて、



冷夏の手は俺の頭を撫でていてくれた。




こんな幸せな時間は



あっという間に時間が過ぎて行く。




抱きしめ合ってる静かな部屋の中で、




虚しくも……




時間を刻む秒針の音だけが響き渡っていた。




「冷夏……!?」




突然、俺から離れ立ち上がった冷夏にびっくりしながら、冷夏の行動を目で追った。