「でも変わらないね、翔クンかっこいい!」



そう言いながら俺に飛び付いて来た冷夏に、



俺の心臓がついて行かなかった。



普段ならおもいっきり抱きしめるはずの俺が、冷夏の体に触れる事に躊躇していた。



「びっくりしたぁ〜!」



冷夏の体を少し離す事で冷静を装っている自分が可笑しくなった。



「どうした?」



「なんでもねぇーよ」



俺は冷夏と距離を開ける為にテレビのリモコンを取り、スイッチを入れた。



「何かやってるかな?おもしろいの♪」



やっぱり俺の部屋も寒いのか……



冷夏は俺のベッドの上に置いてある掛け布団を体にかけていた。




テレビを見ながらニコニコしてる姿がまた冷夏らしく、



俺はテレビに見入っている冷夏を後ろからずっと見ていた。




冷夏がこの空間にいる今でさえも、



俺は……



冷夏が帰った後の寂しさを想像し、不安に陥る。




また夢を見ていたのかと思うくらいの気持ちになる事に脅え、




後ろから冷夏におもいっきり抱き着いていた。