「どこに行くの?」


その冷夏の言葉に我に返った自分がいて、アクセルを緩めた。



「んっ?別に……」


「なんか、いい場所思いついたかと思ったよ」


「俺に決めさせたら帰らせないよ?」


「うん……」



本当は困るくせに……



「じゃぁ、俺の家でも行く?」


「えっ??」


「やだ??」


「平気なの?」


「うん、友達連れてきたって言うからさ」


「あ、うん……」




なんだか、俺の部屋に冷夏が来る事に浮かれていて、俺は変にドキドキしていた。



「誰かに見られたらまずいから、裏から回るな?」


「うん、ごめんね」


「はっ?何を誤ってんの!!」




俺は、浮かれるばかりで



冷夏の気持ちなんて何1つ考えてなかった。



冷夏の言う、



“幸せな場所”は一体どこだったのか……。




後から、何回も聞いたけど



冷夏の口からは聞くことはなかった。