「しょうがねぇ〜よ、冷夏の全てを俺のものにしたいんだから」



変な意味なんかじゃねぇーよ、


冷夏の全てを俺で埋め尽くしたい……。



「ば〜か!」



そう言いながら冷夏は俺に向かってあっかんべーをしていた。



こんな幸せな時間くらいずっと笑っていたい。




「冷夏よ、幸せな場所って何処だ?」



「んっ…?」



「行きたい所あるの?」



運転しながら冷夏を見ると俺をずっと見つめていた。



「おい?聞いてる?」



「翔クン、かっこいい!!」


冷夏の手が俺の片方の手を握った。



冷夏の手から感じるぬくもりが、俺の全身に回って来て心臓の鼓動が早くなっていった。



「ば、ばか!なんだよ急に…事故るよ?」



「翔クンと一緒なら何処でも幸せな場所なんだよ」



「えっ?……冷夏」



冷夏は笑っていた……



幸せそうな顔をして、



まるで、お出かけを楽しんでいる子供のように……



そんな姿を見て、このまま何処か遠くへ行きたいと本気で思い、




アクセルを強く踏んだ。