ウシロスガタ 【完】

「一緒にいたい……」


暗い車の中でさえ分かる、冷夏の泣きはらした目に俺はそっとキスをした。



「俺もだよ、時間が足りねぇーよ」



「ちょっと待ってて!!」



冷夏が携帯を手にし、車の外に飛び出た。



その行動にただ、ア然としながらも車から少し離れ、誰かに電話してる冷夏の姿を見ていた。




「このまま、さらいてぇ~よ……」



そう、一人呟きながらまた冷夏を目で追った。





「ごめんね?」


「おう、どした?」


「ううん、なんでもないよ」



少しだけ、さっきよりも明るくなった冷夏の表情を見て、おもいっきり冷夏に抱きついた。




「俺のこと好き?」


「大好きだよ」


「ありがとう、冷夏温かいな……」


「うん、だって24度に設定されてるからね♪」



笑顔でいう冷夏をまた、おもいっきり抱きしめた。



「そろそろ、時間だろ」


「んっ?」


「もう、遅刻になっちゃうな」


「……」



これ以上、一緒にいたら本当にさらってしまいそうで、冷夏を見送る為に先に車から降りた。