ウシロスガタ 【完】

その時……


俺達2人の不安をさらに、大きくするかのように、


あの悲しい歌が流れ始めた。



“切なすぎるね……”



そう、前に冷夏が悲しそうな表情をした歌……



車の中の雰囲気が、だんだん悲しいものに変わっていくのが分かった。




2人、ただ抱きしめ合いながら、



その不安と共に、涙が流れていた。




冷夏の俺の腰に回す手は、



俺のTシャツをギュッと力を入れて握りしめていた。




時間が止まってしまえばいい……



2人離れることが、不安な俺達を



少しの間だけでも、時間が止まってくれていたら……




そう思いながらも、冷夏の体をゆっくり離し、顔を覗きこんだ。





これが、俺達が選んだ恋愛……



これが悲しい報われない愛なのか……




冷夏の涙を拭きながら、おもいっきり笑ってみせた。