しばらく名刺を眺めながらベッドの上に正座をし深呼吸をした。



「ふぅ~……」



冷夏が書いた名刺の裏の番号を一つずつ押した。




――♪~♪~♪♪♪――


聞こえて来たのは、俺の好きな女のアーティストのメロディーコール……





“切ねぇ~だろコレ……”



その歌に聴き入り俺の緊張はほぐれていた




「はい………。」



“あっ!やべっ……!”



冷夏の声が俺の耳…いや、心の中まで入って来て



俺はその声と共に心臓が、必要以上に動き出していた。





「あっ、俺っ!誰だか分かる?」



「分からねぇーだろ?」



冷夏の返事を待たずに、どんどん話す俺……。




「さとクン………?」




「そ、そうだよ!よく分かったな!しかも電話…本当に出たな~」




「約束したでしょ?ちゃんと出るよ!」




「その場しのぎかと思ったからさ~!」



「相変わらず、毒舌だね」


「そんな事ねぇ~よ!良かったよ」



「何が良かった?」



「いや、電話して…。」




「ありがとっ」




冷夏の声を聞き、



電話の向こうで照れくさそうに笑っている冷夏を想像した。