俺は先輩とわかれた後、


家に帰り、ベッドに寝転がった



「はぁ……。」



ため息と共に目を閉じると


浮かんで来るのは冷夏の一瞬冷めた目と、



同じ人だと思えない笑顔。



俺はポケットに手を入れ、名刺を取り出し目を開けた



「冷夏か……。」



名刺の裏に書いてある、女の子らしい字を指でなぞりながら、眺めていた




「ハハッ!出る訳がねぇ~だろ!!」



冷夏の約束の言葉と、
テレビで見たキャバクラの世界の裏側が、



俺の頭の中をグルグル回った



「ばっかみてぇ~俺…。」



そう言いながら冷夏の名刺をベッドの上に置いた。




俺は部屋の電気を消し、目を閉じた




別にまだ寝る訳でもなく、


ただ…真っ暗な世界に入りたかった




――――――



“冷夏だよ♪”



“アハハハハッ!”



“呼ばれたから女の子
チェンジなんだよ…”



“ごめんね…。”



“教えるよ?待ってて!”




――――――




たった、
一時間位だったのだろうか



俺の隣で笑う、冷夏がいたのは…。





何度目を閉じても



俺の頭の中には冷夏しか現れて来ない。




「くっそ……!!」




俺は電気を付けて、
携帯を片手にベッドの上に置いた名刺に手を伸ばした