「ちゅーして」


俺の言葉に照れくさそうに冷夏は顔を埋めた。



「冷夏、チュッ!」



車の陰に隠れながらも冷夏は回りを気にしながら、



俺に長いキスをした。




「翔クン、不安にさせてごめんね」



冷夏の視線がドキドキしすぎて目を反らしながらも、深く頷いた。




あんなにも遠かった冷夏が俺の目の前にいると思うとなんだか凄く愛しくて……


冷夏を離せなかった。




「お酒臭い〜」



「これ、冷夏のせいだから」





真夏の夜に俺の前に現れ、


俺の心を一瞬で奪った冷夏。



冷夏と一緒にいる時に感じる、この心地よい風も……


風と共に鼻をくすぐる



俺を安心させてくれる冷夏の香り




「これだよ、この匂いが落ち着くんだ…」




この日初めて、




幸せを感じたんだ……。