ウシロスガタ 【完】

「冷夏チャン待ってるんだろ?」


「おう」


「車、代行に頼まなきゃな!」



「だな……」



初めてのキャバクラで、楽しく酒を飲み酔っ払ってる中西と…



ヤケ酒のように、弱いくせにガッツリ飲んで酔っ払った俺は



店から少し離れた所で、座り込んでいた。




ーー♪〜♪♪〜♪〜♪ーー



《何処にいるの?大丈夫なの?》



冷夏からのメールを見てすぐ電話をかけた。



「もしもし?」


「翔クンどこ?」


「店の裏の車の後にいる……」


「分かった!」


ーープープープーーー



一方的に電話を切られ、


中西と思わず顔を合わせた。


「なんだって?」


「切られた……」


「はっ?まだ終わってないんじゃね〜の?」




「翔クン!!!」


目の前から長いドレスを引きずりながら冷夏が走ってきていた。




「冷夏っ、終わったの?」


「うん、後着替えるだけだよ」


「じゃあ。着替えてから来れば良かったのに…」


「だって、帰っちゃうって思ったんだもん」


「ばーか、帰らねぇーよ」



息を切らし、ドレスを持ち上げてしゃがみ込む冷夏の頭を撫でた。



「つーか、俺…邪魔もんだよな?先車の中にいるわ」



そう言いながら、フラフラな足取りの中西を見て、冷夏と目が合い笑った。



「冷夏っ……」



さっきあんなにも遠かった冷夏を思いっきり感じたくて、


強く抱きしめた。



少しだけ、回りを気にした冷夏は、



俺に腕を回し、しがみ付いていた。