ウシロスガタ 【完】

わずかな、俺と冷夏の時間

これが夢だとしたら、ずっと覚めないでくれと願い続けるだろう。



そして、これが現実なら……



俺から冷夏を奪わないでくれと願い続けたい。





冷夏と逢っていた場所から暫く動けずにしゃがみこんだ。



ずっと傍にいて欲しい……。


ずっと一緒にいたい……。


俺だけの冷夏でいて欲しい……。




冷夏に逢った後、毎回襲う俺の贅沢な願い。




それでも自分に言い聞かせていた。




“自分が望んだ恋愛だと”



だけど、そんな俺の思いは俺の中の贅沢な思いにどんどん消されて、




割り切る事なんて不可能になってきていた。




――♪〜♪♪〜♪〜♪――


《翔クンとずっと一緒にいたい》



そんな冷夏からのメールに俺は力強く携帯を握りしめた。