ウシロスガタ 【完】

「そうそう!ねぇ?足だして?」


「足??」



冷夏はしゃがんでいた俺の足を自分に引き寄せて、バッグから何かを引っ張りだしていた。



「なに??」


「いいから目つぶってよ」


「そしたらチュ~でもしてくれる?」


「ばかっ!!」



そう言いながら俺は静かに目を閉じた。



冷夏が一生懸命、俺の足首に何かを付けていた。




「できたぁ!!!」


まるで……


子供のようにはしゃぐ冷夏に吸い込まれそうになりながらも、


自分の足へと視線をずらした。




 
「おぉ!!すげーじゃん、ありがとうな!」



そこには、青と白と水色で編みこまれていたミサンガが付いていた。



「うん!見てっ!!冷夏と色違い♪」



「本当だっ!!探して来てくれたんだ、ありがとうな」



冷夏が付けてくれた、ミサンガに手を添えた。



「違うよ……」



「なにが?」



「冷夏が作ったんだよ……」


「マジ?」


「マジ……」



少ししょんぼりした冷夏を必死に励ましていた。



「やっべーなぁ~また冷やかされるわ!」



そう言いながらも、本当はメチャクチャ嬉しくて、何度も何度も自分の足を見つめていた。





冷夏と色違いのミサンガ……。



冷夏が作ってくれた世界にたった1つの物。



自分でニヤケテいるのが分かりながらも、一生懸命、元の顔に戻そうとしていた。





本当に嬉しかった。



冷夏と同じ物をつけているだけで、



なんだか少し、不安が消えていくような感じがした。