ウシロスガタ 【完】

「そろそろ、行かなきゃ」


「おう!!」



冷夏はバッグを手に取り、ライターを見せた。



「これ、サンキュー!!」



そう言いながら、静かに俺の車から降りた。



「冷夏!!」



冷夏の後を追い、おもいっきり抱きしめた。




「翔クン……」



「気をつけてな!!」


「うんっ!!」



静かに、冷夏の車が動き始めて、俺も冷夏の後を追った。



“普通の恋愛なら……”



そんな事が頭に過りながらも一瞬で消した。




《スモークありがとうね、本当に嬉しかった》




前を走っている冷夏の車を見つめながら、俺もすぐに返信をした。




《おう!!全然だよ、喜んでくれて良かった》



そのメールの送信と共に、冷夏のハザードランプがつき、車が曲がった。




ずっと冷夏の車を見ながら俺も家へと向かっていた。




冷夏とバイバイした時のとてつもない感情……。



これは俺だけじゃないんだよね?



冷夏もきっと俺と同じ思いを、



抱いていてくれるんだよね……。





助手席に目をやりながら、俺はスピードをあげた。