ウシロスガタ 【完】

「きたっ……!!」


狭くて暗い路地裏に車の光が差し込み冷夏が来た事を知らせ、



俺は一瞬立ち上がったが
また座り込んだ。



冷夏とは、もう何度も逢ってるのに……



俺の鼓動は高鳴り、俺を緊張させていた。




「翔クン!!」



勢いよく車から降りて来た冷夏は俺に飛び付いてきた


「逢いたかった……」



「冷夏……」



そう、この香り……。



この香りが俺を落ち着かせてくれる。



「さっき逢ったばかりなのに逢いたくて……」




「俺だって同じだよ」




そう言いながら、おもいっきり冷夏を抱きしめた。




しばらくの間……




ずっと何も口にせず、
ただ、ただ抱きしめ合った



一生懸命、不安をお互い埋めるかのように。




俺は、このまま離れたくないと強く、強く願い続けていた。