「あれ??なんか、車寒くないよ?」


「まぁな♪冷夏仕様にクーラーの設定は24度にしたんだよ♪」


「えーっ!!本当??翔クン暑いよね?」


「あちーなぁ、俺、異常な暑がりだから」


「ごめんね、いいよ!!冷夏大丈夫だから♪」


「いいの、いいの!!冷夏の特等席だから♪」



俺の言葉に冷夏は子供のように足をブラブラさせながら笑っていた。



そんな冷夏の笑顔を見て、俺は胸がキュンとなった。



「でも、ホント暑かったらいいからね♪」


「おう!!分かったよ!!溶けそうだったら言うわ!でも、ほんの少しの時間だけだから大丈夫だよ」



「えっ……そ、そうだね」


俺は一瞬、自分の言葉を振り返り、



自分が発した言葉に後悔した。



“ほんの少しの時間だけだから……”




何気なく言った一言に、俺の気持ちが表れてしまった事に、何とも言えなくて冷夏を見る事が出来なかった



「ねぇ……翔クン」


「えっ?あ、うん……どした?」


「時間、止めちゃおっか」


「えっ……」



車の中に表示されている時計を見ながら、冷夏はそう呟いた。



「お前……っ、ホントに可愛い事言うな~」


そう笑い飛ばしながらも、胸が苦しくて、おもいっきり冷夏を抱き締めた……。



「止まればいいのに……」


冷夏の表情なんて分からなかったけど、


“見えなくて良かった”


そう思いながら、力いっぱい抱きしめた。



「俺だって、このままさらいたいくらいだよ……」




その言葉と同時に……



冷夏が俺にしっかり掴まったのを体で感じていた。