ウシロスガタ 【完】

中西と店を出た時には、ちょうど2時を過ぎていた。



「冷夏チャン終わりだろ?」


中西のことばを聞きながらもう既にメールを送信していた。



《終わったかな?お疲れ様》


そんな、普通のメールだったが、俺は不安だらけだった。



ちゃんと帰ってんのか



誰かに誘われてないか



酔っ払ってないか……



考えるとキリがなくて、中西とタクシー乗り場の近くで腰を下ろしていた。



《うん!!今、女の子と一緒に帰ってるよ!!》


《そっか……》


《もしかして、まだ外にいたりして……》


《いたりする……》


《なんで?早く帰りなよぉ》





そんな冷夏の返信に、


「ばか、お前を待っていたんだよ」


そう一人で呟いた。




《少しでも逢えるかなって期待してた…》


さっき一緒にいたはずなのに、冷夏とはもう暫く逢ってないような感覚に陥ってた。



《翔クン……ごめんね》


予想ついてたよ。


俺だってそんなにアホな男なんかじゃない。



《いいんだよ、無理だって事くらい分かってたからさ!》



本当は、少しだけ期待してた……。


店が終わるまで、待っていれば、逢えるかもしれない。




きっと、初めから無理だって言われていても、俺はきっと待っていただろう。