「今日は、ありがとうね」

恥ずかしそうに話す冷夏を見て思わず引き寄せそうになっていた。



「俺も逢えて良かった」


「うん……」


「あのさ」


「んっ!?」


「やっぱり何でもねぇーや!!」



「なにっ?本当なによ、気になるじゃん!」



冷夏は俺達の目の前をいちゃつきながら通ったカップルに目をやりながら俺を押した。



「なに~?ずるいよ途中で止めて~!」



「いや、いい……」


「ふ~んだ!もういいよーだ!!」



目の前でふてくされる冷夏を見て俺の口が開いた。




「抱きしめていい?って言おうとしたんだけど、言わなくてよかっただろ?ほら人通ったし……」



見なくても分かる


俺の顔は今、赤く火照っているだろう。



「ば…ばかだな、俺って。アハハハッ!!」



「翔クン……!!」


「えっ??れ、冷夏……」



俺の胸に冷夏の頭があった



間違いなんかじゃない。



夢に切り替わったわけでもない。




確かに、冷夏が俺に抱きついてきていた。



心臓が張り裂けそうで……



それでも、俺は強く、強く冷夏をおもいっきり抱きしめた。



愛しくて、愛しくて……



このまま、離したくないと……。