ウシロスガタ 【完】


「えっ??何が?だって何も知らなかったじゃん、何が??」


「俺はねぇ、子供とかの存在は知っていたの!!ねっ?元ヤン!!」


「元ヤンって……何処が?ってかなんで?初めから知っていたの?」


「いや、知らねぇーよ」


「じゃぁ、なんで?」


「それは言えないよ、でも、俺の情報源は凄いから気をつけた方がいいよ」


「何それ……、てか気になる。誰から聞いたの?」



冷夏が俺を見つめる目を咄嗟にそらした俺がいた。



なんだか、俺の助手席に座っている冷夏が信じられなくて、俺はタバコを取り出し、火をつけた。



「タバコ吸って平気?」


「おう♪」


そう言いながら、タバコに火をつける姿にさえ、俺は見とれていた。



車の中を白い煙が充満する。


沈黙だけが走る中、その状況を食い止めたのは、やっぱり俺だった。




「俺な、子供がいるってのを知った時は、正直、全然平気だったんだ。びっくりしたのは嘘じゃないよ?子供がいる感じには見えなかったから」



冷夏はタバコを消し、俺を見つめていた。



「好きな人にたまたま、子供がいただけで、それは俺全然平気でさ……。ただ、いつになったら本当の事言ってくれるのかな……とは思ってたんだ」



「……ごめんね」



「だから俺、わざと壁があるとか言ったんだ」


「そうだったんだね、じゃぁ、あの時はもう……」


「はい、知ってました。」


「そっか……」


「でも……結婚してるのは衝撃的だった。旦那がいるってのには耐えられなかった。俺は子供がいたって、冷夏なんて、男ぐらいはいるだろうって考えてたからでも、彼氏なら、どうにでもなるって思ってたから」


「ごめんね……」



「ずっと悩んだ……」



「うん」



俺の気持ちを知って貰いたくて、俺は冷夏を見つめながらずっと話し続けた。



冷夏は俺を見る事もなく、ただずっと下を向いていた