ウシロスガタ 【完】

《ごめんね、でも翔クンの存在が大きくなるに連れて…言えなかった。本当に好きだった……》



その冷夏からのメールを見て
俺は深呼吸をして


自分の胸の鼓動を
落ち着かせようとしていた



冷夏が好きで、
どうしようもない事くらい自分が1番よく知っている


それでも現実に脅えてる
俺は情けねぇのか……




どうしていいのか分からずに、



俺はエアコンのスイッチを切り、
運転席の窓を全開にした。






窓から入ってくる生温い心地悪い風は、


冷夏と店の帰りにコンビニで話してた時と同じ風だった


俺はあの時、



冷夏の冷めた目を見て思ったんだ。



“コイツを幸せにしたい…”


“コイツと幸せになりたい”


と……。


あの時、
冷夏を捜してコンビニを回った事……。



冷夏の車を見つけた時の
俺の鼓動……



それは……
今でも変わる事なく、




俺の胸の中にちゃんとある



《なんだかんだ言って、
俺さ、結構お前の事、好きなんだよね》




そう、嘘偽りのない俺の
たった1っの気持ち。




俺は冷夏に届いて欲しいと心をこめて送っていた。