~翌日~


「トウヤ、ちょっと大事な話があるんだけど…」

アヤメを迎えに行くとおばさんがいつになく真面目な顔だ。


「今すぐどうこうって話じゃないんだけど、やっぱりアヤメの心臓、
手術しないと難しいって…」

「……………」

「トウヤには言うなって言われてたんだけど、のぼるはだいぶ前から先生に聞いていてね。
あの子それで手術の費用の為に必死で働いてるの。アヤメにはなつみさんのぶんまで
生きてほしいって…」

「・・・んだよ」

「え?」

「なんだよそれ!俺やアヤメがどんな思いしてきたか、おばさんだって知ってるだろ!」

「トウヤ、落ち着いて!そのことは私も申し訳ないと思ってるわ」

「おばさんが謝ることじゃない!全部あいつが悪いんだから!」

「トウヤ・・・。」

「大体、あいつのせいでアヤメがどんなに辛い思いしてきたか・・・。体調崩しても病院にも連れて行ってもらえなくて・・・。俺のことは別にいいんだよ、もう慣れたから。でも、アヤメが体調が悪いときぐらいそばにいてあげて欲しかった!母さんが死んだときも、母さんのそばに、最後までいてあげて欲しかった!」

「トウヤ・・・。ごめんな、俺はそこまでお前を追い詰めていたんだな。お前の目は、子どもの目じゃない。いろんなものをみてきた、大人の目だ・・・。」

「!!親父・・・いたのかよ」

「本当にすまなかった。アヤメにもお前にも、悪いことをした。お前たちだけじゃない母さんにも・・・。」

「いまさら謝ったって、もう遅いんだよ。いまさら謝られたって、母さんは帰ってこない!帰ってこないんだよ・・・!」